各種検査
各種検査
小児科医が最もよく調べる血液検査の項目の一つに、炎症反応があります。これは、子どもの熱源の大半を占める感染症が、細菌由来か、ウィルス由来かを判断するものです。細菌感染は抗菌薬による治療が期待できますが、ウィルス感染は自然軽快することが多く、対症療法(症状をやわらげる治療)となります。
40℃を越すような熱でも、ウィルス感染であれば5日間程度の間に解熱傾向となることが多いです。子どもの感染症は圧倒的にウィルス由来が多く、機嫌や飲水がある程度保たれ他の症状が強くなければ、発熱して4日目以降を目安に炎症反応を調べ抗菌薬の適応を判断しています。また当院では原則として、細菌感染の確証のない子どもへの抗菌薬の処方は見合わせています。必要のない抗菌薬投与は腸内細菌を乱し、免疫低下や耐性菌の増殖を促し、子どもにとってデメリットしかありません。
子どもの血管は細く、動いてしまうとうまく採血できないばかりか非常に危険です。そのような事態が起きる、あるいは想定される場合は、スタッフがお預かりして採血することになります。
また点滴が必要になる場合は、点滴の針から血液を採取し、子どもの痛みを少なくする配慮をしています。 ※血液型検査は治療に影響しないため、希望の方は自費(3,000円)で3歳以上を対象に行います。
尿検査では、本来尿中には存在しない血液や蛋白の成分が尿から検出されないかを調べています。尿中にこれらが混入する病態は多岐にわたり、血液検査やあとで述べる超音波検査を組み合わせて、病気の診断、対応に繋げています。学校検尿での検尿異常にも対応致します。
心臓の電気的変化を記録していくことで、心臓の電気的な活動性をチェックします。電極を手首や足首、胸に貼り付けるだけで痛くはありません。これによって、不整脈、心肥大、心膜炎、心筋の障害(狭心症、心筋梗塞、心筋炎)など心臓の異常を確認できます。検査時間は、2~3分程度です。胸が苦しくなることがある、動悸が頻繁に起こるような場合はご相談ください。
超音波検査はお腹の病気を見つける上で有力なツールです。レントゲン検査は臓器のX線の透過性の差を画像化する検査ですが、お腹の臓器は腸のガス以外はほぼ同じX線透過性となり、腹痛の原因が見つからないことも多いです。一方で超音波検査は、内臓の超音波の伝搬速度を画像化することで、各臓器の大きさや非生理的なものの把握、血液の流れなどがリアルタイムに評価できます。
検査中はある程度、子どもにじっと動かないでいてもらう必要があります。そのため、子どもに好きな動画を見せながら、上手に検査が受けられるよう配慮しています。
なお、お腹や心臓以外にも超音波検査が有力なケースがあります。まずはどんな症状でもお気軽にご相談いただければと思います。
スポットビジョンスクリーナーは、まだ視力検査ができない乳幼児(生後6カ月~)の検査を短時間で行うことができる機器です。
この機器は、検査前に目薬をさしたりする処置もなく、大きな機械の前に座ってレンズをのぞき込むようなこともせずに、近視・遠視・乱視などの屈折異常や屈折の左右差、瞳孔不同、斜視などを発見できます。
子どもの視力が発達する時期は3歳~5歳がピークで、6歳頃には成人とほぼ同等になると言われています。この時期に屈折異常や斜視などの問題があり、正常な視覚刺激が入ってこない場合、視力が正常に発達せず、弱視となってしまうことがあるため、早期に発見し、適切な治療をすることが重要です。
お子様はお母様に抱っこされた状態のまま、カメラで顔写真を撮られる感覚で検査できます。うまくいけば1分もかからずに完了します。